セカンドオピニオンとして、他のクリニックで相談・手術を受けた方が、アスク井上クリニックに来院され、相談される主な内容や事例について教えてください。
医師による納得いく十分な相談を受けたい
意外かと思われるかもしれませんが、一番多い理由は、『医師に相談をしたい』ということです。実は、多くのクリニックの場合、相談にいくと、
まずカウンセラーと呼ばれる担当、あるいは毛髪アドバイザーや毛髪診断士といった医師ではない担当が対応しているようです。彼らは医師ではないので、
アドバイスという形で対応するわけですから、相談者が十分に納得できるような医学的な説明、つまり診断をすることはできないわけです。
相談者は十分に悩んだうえで来院することが多く、それなりにネットなどから知識を得ています。その範囲を超えるような知識や説明、
的確な診断が受けられることを期待して行くわけですから、医師に診察をしてほしいと考えるのは当然です。
また、その後に医師と話ができたとしても、手術の合間のせいぜい5分程度というわずかな時間であることも多いようです。
そうなると、十分な説明は受けられません。場合によっては医師と話す前に手術の契約をしてしまい、結果的にカウンセリングで決まったことを医師ともう一度確認するだけということもあるようです。
ですので、本当にこれで大丈夫なのかと、納得できる説明を求めて当院に来られる方が多くいます。
さらに診断内容だけでなく、手術をした場合の出来上がりの状態、つまり自然に見えるようになるのかどうか、術後の経過はどうなのか、
痛みはどうなのかなど、医師と十分に相談したいと当クリニックにいらっしゃるのです。
植毛の密度に満足できない
他院とどういう違いがあるかを知りたいというケースもあります。そのなかでも一番多い質問は植毛の「密度」ではないでしょうか。
というのも、植毛の世界共通で1平方センチメートルあたり30株(=グラフト)以下が標準と言われています。
つまり、通常は20~25株くらいを植えることになります。ところが、この株数を移植したとしても、一回の手術で満足する人は100%いないと経験上、私は思っています。
余談ですが、他のクリニックで手術を受けた後に、満足が出来ないために当クリニックに相談にきた方には、密度が低いだけでなく、生着率が低いケースも、実はあります。
1000株移植したと言っているのに、診てみると500株くらいしかないという……。様々な理由が考えられますが、それでは不満に思うのも仕方ないですよね。
話を戻しますが、当院で植えている標準は、男性の場合で1平方センチメートルあたり40~50株くらい、女性の場合は80株以上のこともあります。
女性の場合、女性ホルモンそのものが皮膚の治りをよくしてくれますので、これくらい多く植えても大丈夫なのです。
逆に男性ホルモンは皮脂をたくさん作り出すので、植えるために開けた小さな穴に脂が詰まって化膿するなど、一般的には手術後の治りを悪くしがちと言われています。
そんな時にあまり高密度で、つまり、もともとあった毛穴と同じくらいの間隔で移植してしまうと、どうも具合がよくないようです。かといって、30株以下では一回の手術で満足いただけない。
そういう状況を鑑みて、行き着いたのが40~50株くらいなのです。
つまり、40~50株とは、術後の治りを悪くするリスクがほとんどない状況で、かつ半分の方が一回の手術で満足していただける、ぎりぎりの数字です。
少し補足しますと、残り半分の方については正直もっと密度が欲しいと思うけれども、しばらくは様子をみても良いという状態です。
経過を見てから検討するということです。
私の診る限り、他院で30株以下の植毛を行った場合、一回で満足しないどころか、手術を追加しないとあまりにもスカスカでかえっておかしいことが多いです。
何故なら、いかにも植毛しましたというような感じになっており、これでは、はっきり言って植毛しない方が良いとさえ思うこともあります。
たとえば、生え際のところに太い毛がまばらに生えている様子は、とても不自然ですよね。ですから、すぐにでも手術をしたくなるわけです。
他には、庇(ひさし)のような状態になっているケースもみられます。
何故そのような状態になるかと言えば、普通髪は前側に流れるように傾いて生えていますが、植毛の際、移植しやすいからと垂直に植えてしまうと、
手術後、髪がそのまままっすぐ伸び、途中から重力に従って下を向くため、少し根元が浮いた庇のような不自然な状態になってしまうのです。
これは毛を植える角度が原因で起こります。毛の流れや生える角度を意識せずに、つまり何も考えられずに移植してしまった結果といえるでしょう。
ですから、移植する際は、もっと解剖学的な見地から行うべきだと強く訴えたいですね。
男性の薄毛はすべてAGAなのか?
そのほか、他院でAGAと診断されて投薬しているものの、一向に効果が現れないというケースがあります。 つまり本来の意味でのセカンドオピニオン、診断が不安になって来院されるケースです。 はっきり言うと、原因の多くがAGAではないのに、AGAの薬を長く使い続けている患者がけっこういらっしゃるということです。 もちろん、医療の世界のことですし、この分野はまだまだ解明されていない部分も多くあります。 そういう場合は、現在支持されている考えた方をできるだけ詳しく、ご納得いただけるよう丁寧に説明をします。