あえて切断するという技術(スプリット) その2

他院での手術で生え際が不自然な為に修正する手術をよく行います。不自然のというのは大きく分けて三つ

① デザインそのものがおかしい(やけに丸かったり、意味もなくギザギザ、あるいは一直線、解剖学的な生え際の下縁を超えている、または離れ小島など、世界にはこれがわかっている植毛医は数人しかいないんじゃないかと思うほど酷い、わかってなくても控えめなら問題ないことも多いが、生え際を下げたりすると、この知識とセンスによる違いが出てしまう)
② 密度が低い(平気で30株/㎠以下を世界標準という)
③ 移植毛のサイズが場所に合ってない(とにかく太くて、さらには3本毛とか、それほど酷くなくても「生え際は一本毛」などともっともらしいことを言う)

②は間に詰めて行けばいいわけですが、①と③では抜いてしまうしかないこともあります。抜くと言っても、ただ抜いては無駄にすることになるので、抜いたものを移植株としてつかうことが前提です。ここでは0.6~0.7mmφの極細パンチを用いて採取します。まったくそのサイズに収まらないほど大きいものが移植されていることがあり、その場合もしデザイン的には問題なければ、たとえば3本毛なら2本毛として採取して、1本を残します。もちろんあまりにデザイン的に問題なら全て抜くこともありますが、傷跡のことを考えると1本残したほうが良いことも多い。ここでもスプリット採取法が役に立ちます。