子作りとプロペシア

フィナステリドもデュタステリドも、わずか数ヶ月の連用でもDNAダメージを持つ精子の確率が増加することが最近の研究で判っています。そのようなことは喫煙などでも起こることであり、あまり深刻な問題となることはないのかもしれません。それは実際受精して出産に至るのは正常な精子のことがほとんどであり、DNAダメージを持つ精子は大抵は受精できず、まれに受精しても流産を起こしてしまうからでしょう。それでも出産にまで至れば異常を持ったまま生まれると考えられるのです。また皮膚や精液を介しての吸収程度の濃度で胎児奇形や妊娠異常を起こすことは考えにくく、また実際起こしたという報告もありません。さらに、授乳においても母乳への移行も問題となる濃度ではない(このようなことは喫煙でも同じようなことが言えます)。とはいえ、子供を作る予定のあるときには、事前に服用を中止し、妊娠がわかってから服用を再開するときも、コンドームを3ヶ月目程度までは使用し、さらに他の者の手に触れないよう管理するぐらいの用心があった方が良いのかと思います。(たとえば、不運にも他の原因で何らかの異常が起きたとき、このことが原因だったのではないかと、将来にわたって苛まれることにもなりかねない)万全な状態なんて難しいにしても、心の平安のためにも、用心に越したことはないということです。
薄毛の治療における5ARI(フィナステリドやデュタステリドなど)に対しても、妊娠出産などへの影響がないもので、ある程度は代替できうる成長因子を用いた方法もある訳ですから。

 

 

投稿者プロフィール

井上 浩一
井上 浩一アスク井上クリニック 院長
経歴
1988年 熊本大学医学部卒業
熊本大学医学部付属病院 勤務
1989年 某大手美容整形外科クリニック 本院勤務
1998年 都内美容外科クリニック 院長就任
2002年 米国での自毛植毛研修を経て、植毛クリニック開院
2006年 某大手植毛クリニック 院長就任
2014年 アスク井上クリニック 開院