前回に引き続き、最近の手術の傾向です。アンシェーブンの割合が3割程度になってきました、一時ハイブリッドの方が多かったのですが、最近は単独のアンシェーブンの割合が増えてきたのです。なぜなのかについて分析していませんが、キャンペーン価格とかを続けてきたためかもしれませんし、実際、価格やかかる時間以外での欠点が少ない方法ではあります。以前のクリニックにいた頃よりこの考案した「刈らない」方法の推進者ではありましたが、開業してからは、たくさんのアイデアでソフィスティケートしたアンシェーブンを行うようになり、それの結果が少しず評価されてきたためかもしれません。本格的にパワードFUEでのメガセッションを考案した時も、今からの需要は「切らない」になっていくと確信したのと同様に、この「刈らない」も今後の主流になり得る手法ではあります。アンシェーブンなら、単に術直後でも目立たないだけでなく、ドナー範囲は精一杯広く設定でき、それだけキズを分散できるのです、さらにネイプヘアのような産毛に近い髪さえも選択枝に含める事ができ、いっそうのナチュラルさをもとめることができます。
月別アーカイブ: 2017年12月
一毛入魂(及び求人)
このコラム、一般形成のドクターもみて参考にされているとご質問等のメールをいただくことが何度かありました。そこで植毛従事者における「植毛とは」について述べてみたいと思います。
元々この植毛という手術は、研修医でもやれるほど簡単な手術ではあります。しかしその結果には、施術者により大きな差があるものです。それを左右するものはなんでしょう。経験年数でしょうか、手術数でしょうか、手術法あるいは手先の器用さでしょうか。多くのドクターに教えてきた経験からはどうもそういうものではない気がします。つまり、わりと経験が浅いドクターでもそこそこの結果を出せる人がいますし、その逆も多々あります。結局、技術はさほど難しくないこのような分野では、「心」が大きく関わってきてしまうのです。完璧にしたい心、慢心することなく、昨日より今日、今日より明日はもっと上手くなりたいと思う心、何とか毛を増やし幸せを届けたいと願う心。教えを受け入れる謙虚さと科学的考察、それを改良していこうとする独創性、そして知識に裏打ちされたセンスです。私の場合手術中に繰り返し念じるのは「一毛入魂」です。ちなみに、これらのことは植毛の場合は看護師もその結果に大きく関わっているため同様に言えることです。
もちろん、「心」だけではだめです。その上に、既存のものには常に疑問をもち留まることなく、よいと思える新たなものにも挑み、経験と知識を積み重ねていくことです。新たな技法を思いついても、患者さんで試さず脳内で試すのです、全てに矛盾がなければその仮説は当たらずとも遠からずです。もし、結果がおもわしくないなら、他のせいにして逃げず原因を一つ一つ潰していくことです。そういう念いから、自分に厳しく明日からも精進していかなくてはいけません。
補)現在(2017年12月9日時点)、当院は私一人で手術をしており更に想定している手術時間が一般的手法の倍なため可能な手術数に限界があります。「心」を持って取り組んでいただける医師看護師のかた、一緒にやりませんか。現在の科は問いません。(御連絡は当院事務局長阿部まで)
スプリット採取の割合
多くのクリニックで1本毛なるものを得ようとすると、1本毛自体がとても少ない、あるいは取れにくいため多くの場合最小単位であるFU株を更に細かくして作成するわけですが、この作業がかなり株をいためて生着不良の原因となります。そこで当院では、あまり小さい毛が取れにくいときには、例えば3本毛から1本だけを採取することがあり、これだと、株に触れる時間はとても短く、触れることによるダメージをなくすことが出来るだけでなく、残した2本も一時的には脱落しても、3ヶ月後には2本毛が出てきてその採取傷跡を隠してくれます。これをスプリット採取と呼んでいるのですが、スプリット採取した株の生着に遜色はないようなので、最近はその割合が多くなった気がします。実際生え際やや奥でも3本毛以上はやはり大きすぎる気がしますで、そこでスプリット採取を使い大きさを調整しています。欠点は、多少手間がかかる程度なのですので。