カツラは、一見手軽で、効果の高い方法のように思われますが、年齢不相応に密度が高い、思いの外維持費がかかる、帽子をかぶったまま生活をしている感じで煩わしい。バレているだろうけどあまりに落差が大きくそのカツラを外せない。などなど、いろいろと、苦労がつきまといます。だから、もうそろそろカツラをやめたいといって当院を受診される方がいらっしゃいます。自毛植毛で得られる髪は、ご自身の髪であり、毛周期を繰り返す普通の髪ですから、メンテナンスも要らず、間違いなく自然です。そして、カツラの不便さをことごとく解消してくれるでしょう。
しかし、問題点もあります。それは、自毛植毛で使う植える材料は、ご自身の後頭部・側頭部から採取し、それは毛を作り出す工場ごとですので、取ったところにはその工場はなくなり、取った分は少なくなります。つまり、限界があるということです。毛穴を引き抜くFUEでは、余分な皮膚を切り取ったりしていませんので、以前からある頭皮を切り取るストリップテクニックよりは限界は高いのですが、それでも、通常AGAのある東洋人で7000~8000株(株=毛穴、15000本相当)をとると、採取部の密度はかなり透けてきて、打ち止めとした方がいいレベルとなります。
その7000株でカバーできる範囲を考えてみましょう。仕上りの密度として、ある程度の満足が得られるのは、おおよそ40株/cm²程度、そう考えると、7000÷40=175cm²、手の平の大きさが約120cm²なので、その1.5倍程度はカバーできる勘定ですが、これは複数回のトータル数です。こちらで行っているバイブリッドi-SAFEを使っても、一日でとれるのは4000株程度が上限となりますので、広範囲のカツラでは、まずは小さいカツラへの移行というように考えて頂くと良いでしょう。
また、40株/cm²の密度、これは、カツラの不自然なほどの高密度に比べると、まだまだなのですが、年相応の髪量でカミングアウトしたいと考えれば、適当な密度と言えるかもしれません。
結論、多くのケースで、自毛植毛によりカツラを卒業できるのではないでしょうか。
投稿者プロフィール
- 経歴
1988年 熊本大学医学部卒業
熊本大学医学部付属病院 勤務
1989年 某大手美容整形外科クリニック 本院勤務
1998年 都内美容外科クリニック 院長就任
2002年 米国での自毛植毛研修を経て、植毛クリニック開院
2006年 某大手植毛クリニック 院長就任
2014年 アスク井上クリニック 開院
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