元の毛穴に植える「自毛植毛」

― さらなる高みを目指すための医学的根拠 ―

自毛植毛において、現代の一般的な手法(適当な場所に穴を開けて植える方法)であっても、正しく行えばそれなりの生着率が得られる段階にあります。 しかし、アスク(ASC)が「元の毛穴に植える」ことにこだわるのは、そこからさらに一歩進んだ、より質の高い結果を追求するためです。

1.既存の血管網を活かし、生着をより「早く・容易に」

一般的な方法では、移植毛のために毛細血管網をゼロから作り出す必要があります。 対して「元の毛穴」には、すでに完成された血管網が存在します。 そこに植えることは、既存の血管網に再接続されるだけで済むことを意味します。 これにより、生着がより早く、かつ容易になり、標準的な方法以上の確実な結果が期待できるのです。

2.生着スピードが「髪の質」を左右する

生着に時間がかかると、頭皮での感染や炎症のリスクが増大します。 これらは単なるトラブルに留まらず、将来的に「ひどいくせ毛」が生じる原因にもなり得ます。 元の毛穴を活用し、素早く生着させることは、新しく生えてくる髪をより自然で健康な状態に導くための鍵となります。

3.「本物の毛穴」だけが持つ生体防御機能

どんなに正確に頭皮を穿孔しても、作られた穴は「傷跡」であり、本物の毛穴にはなれません。 本来の毛穴には、立毛筋・皮脂腺・汗腺といった「生体防御ユニット」が備わっています。 これらは、髪と頭皮を健やかに保つために不可欠な機能です。 元の毛穴をそのまま利用することで、これらの機能を損なうことなく、移植毛を健やかな環境に置くことができます。

4.既存の毛と地肌へのダメージを最小限に

「産毛ですら既存毛として避けて植える」という手法は、一見、密度を高める良策に聞こえますが、医学的な矛盾を孕んでいます。

● 血流分配の最適化

もともとの髪の密度は、血液の供給量に合わせて最適化されています。そこに過剰な密度を強いることは、生物学的に困難です。

● 線維化のリスク

無理な穴あけは、周囲に「瘢痕(傷跡)の線維化」を引き起こします。 これが元々の毛穴にある毛細血管まで破壊してしまい、周囲の毛をダメにするリスク(ASCが「元の毛穴に植える」ことにこだわるのは、結果の質と将来を見据えた安全性を追求しているからです。既存毛の消失)を生みます。

自毛植毛を補助する治療法

かつては科学的根拠のない治療法と思われていたものへの科学的考察

 

テーマ:PRP、エクソソームの注射療法は薄毛に効果がありますか? 

薄毛治療の臨界点。PRP・エクソソームが書き換える「髪の設計図」

〜微小炎症の鎮火とエピジェネティック・リセットの衝撃〜

薄毛治療は今、「外から足りないものを補う」時代から、「細胞のプログラムそのものを書き換える」時代へと突入しました。その鍵を握るのが、PRPやエクソソームがもたらす「免疫制御」と「エピジェネティックな作用」です。

  1. 負の連鎖:微小炎症が招く「薄毛の記憶」

薄毛の進行している頭皮では、目に見えないレベルの「微小炎症」が慢性化しています。この炎症下では、免疫細胞であるマクロファージがM1型(炎症促進型)に偏り、毛包に攻撃を仕掛け続けます。

恐ろしいのは、この慢性炎症が細胞に「髪を作らなくていい」という負のエピジェネティックな記憶を植え付けてしまうことです。DNAの塩基配列そのものは変わりませんが、炎症によって遺伝子のスイッチが「オフ(メチル化など)」に固定され、毛包が眠りについてしまうのです。

  1. M1からM2へ:戦場を修復の場へ変える

PRPやエクソソームを注入すると、まず現場の「鎮火」が始まります。

これらに含まれるシグナル物質は、M1型マクロファージをM2型(組織修復型)へと劇的に転換させます。M2型から放出される抗炎症サイトカインが微小炎症を鎮めることで、初めて細胞が「再生」のための対話ができる環境が整います。

  1. エピジェネティック・リセット:細胞の「再プログラミング」

微小炎症が鎮まった後に起こるのが、本治療の真骨頂であるエピジェネティックな書き換えです。

  • プログラムの初期化: エクソソームに含まれる特定の「マイクロRNA」は、毛包細胞内の遺伝子スイッチに直接働きかけます。加齢や炎症によって「オフ」にされていた発毛関連遺伝子を再び「オン」にし、逆に「薄毛を進行させる遺伝子」をサイレンシング(抑制)します。
  • 幹細胞ニッチの再生: PRPの成長因子は、毛包幹細胞を取り巻く環境(ニッチ)を物理的に再構築すると同時に、細胞内のヒストン修飾などに影響を与え、細胞をより「若い状態」の発現パターンへと引き戻します。
  1. 「補う」治療と「書き換える」治療の決定的な差

従来の育毛剤やメソセラピーとの違いは、この「細胞の履歴」に介入できるかどうかにあります。

比較項目

従来の成長因子投与

PRP・エクソソーム注射

ターゲット

細胞の活性化(一時的)

免疫系と遺伝子発現(根本的)

炎症への対応

考慮されないことが多い

M1→M2転換による強力な鎮火

エピジェネティクス

変化なし

発毛プログラムの再起動(リセット)

本質的な役割

肥料を撒く

土壌の改良 + 種の設計図の修正

まとめ:薄毛治療は「生物学的リバイバル」へ

再生医療による注射療法は、単なる美容治療の域を超え、生体内の免疫応答とエピジェネティックな制御を巧みに利用した「精密医療」へと進化しました。

「微小炎症という火事を消し、M2型マクロファージの助けを借りて、細胞の眠っていた設計図を書き換える。」

この論理的なプロセスこそが、これまで諦めていた薄毛に対して、PRPやエクソソームが劇的な変化をもたらす理由です。あなたの頭皮で眠っている「発毛のポテンシャル」は、適切なシグナルを待っているだけかもしれません。

 

 

 

 

 

 

テーマ:マイクロニードル治療や、レーザー治療、Co2密閉療法、は薄毛に効果ありますか?

なぜ「刺激」で髪が生えるのか? 物理療法が呼び覚ます細胞のサバイバル本能

〜低酸素・解糖系シフトがもたらす、眠れる幹細胞の覚醒〜

針治療、低出力レーザー、二酸化炭素療法。これら一見バラバラに見える物理刺激療法には、共通する「細胞の勝ち筋」が存在します。それは、あえて細胞を窮地に追い込むことで「サバイバルモード」を発動させ、眠っていた毛包幹細胞を強制的に覚醒させるという戦略です。

  1. 「低酸素」が引く、再生のトリガー

これらの治療が頭皮に与える共通のインパクト、それは局所的な「低酸素状態(またはその疑似演出)」です。

  • 針・二酸化炭素・レーザーの共通項: 針による組織損傷での微細な血流遮断、二酸化炭素注入による酸素置換、レーザーによる活性酸素バランスの変化。これらはすべて、細胞に「酸素が足りない」という危機信号(HIF-1αの安定化)を送ります。
  • 代謝のシフト: 酸素が乏しくなると、細胞は効率的な酸素呼吸から、緊急用のエネルギー産生経路である「乳酸解糖系」へと代謝をシフトさせます。
  1. 「サバイバルモード」による幹細胞の覚醒

表皮とその付属機関である毛包系がこの代謝シフトを経験すると、細胞は「維持」ではなく「生存と修復」を最優先するサバイバルモードに切り替わります。

毛包幹細胞、表皮幹細胞、が一斉に修復モードにはいります。物理刺激によって意図的にこの環境(幹細胞ニッチ)を再現することで、休眠状態にあった幹細胞が「今こそ出番だ」とばかりに増殖・分化を開始するのです。

  1. エピジェネティック・リプログラミング:代謝が運命を変える

     

    代謝シフトによる毛包活性化

     

この代謝のシフトは、単なるエネルギーの切り替えに留まりません。代謝産物そのものが、遺伝子のスイッチを書き換える「

 

 

 

 

エピジェネティックな調整役」として機能します。

  • 乳酸のシグナル: 解糖系へのシフトで産生された「乳酸」などは、ヒストン修飾(遺伝子の梱包状態の変更)に影響を与えます。
  • 記憶の上書き: 慢性炎症や老化によって「髪を作るな」という指令で固まっていたDNAの梱包が、代謝シフトに伴うエピジェネティックな変化によって解かれ、「胎児期のような再生プログラム」へとリプログラミング(再プログラミング)されるのです。

 

 

まとめ:生命の根源的な「底力」を引き出す

 

薄毛治療における針やレーザーの役割は、単なる「刺激」ではありません。

それは、毛包という組織が本来持っている「過酷な環境下でこそ再生する」というエピジェネティックな生存本能を呼び覚ますスイッチなのです。

「成分(PRPやエクソソーム)」が種や肥料であるならば、これらの物理療法は「土壌そのものを、種が芽吹かざるを得ない原始の状態へとリセットする工程」と言えるでしょう。この両輪が揃って初めて、再生医療はその真価を発揮するのです。

 

 

 

テーマ:複合的治療戦略

〜死角をなくす複合戦略〜

 

薄毛治療において、これらをセットで考えるのが望ましい理由は、単に「たくさんやるから効く」という根性論ではありません。薄毛の進行過程には複数の「障害(ボトルネック)」があり、それぞれの治療法が叩いているポイントが本質的に異なるからです。

  1. 守備範囲の明確な違い

それぞれの治療は、以下のように異なる角度から「発毛・育毛」を阻害する要因を排除しています。

  • フィナステリド・デュタステリド:【ホルモン・環境維持】 DHTという「負の信号」を遮断し、土壌が荒れるのを防ぐ。いわば、マイナスをゼロに戻す土台作りです。
  • 物理刺激療法:【代謝ハック・覚醒】 低酸素・解糖系シフトという「物理的な衝撃」で、眠っている幹細胞をサバイバルモードで叩き起こす。これは薬物療法ではリーチできない「細胞の目覚め」を担当します。
  • PRP・エクソソーム:【免疫制御・記憶の書き換え】 M1からM2への極性転換やエピジェネティックなリセットを行い、細胞の質そのものを若返らせる。火を消した後の「再建築の設計図」を渡す作業です。
  • ミノキシジル:【延命・加速】 アポトーシスを抑制し、成長期を維持する。せっかく生えてきた毛を*「より長く、より太く」引き延ばす、時間軸への介入です。
  1. 重なり(オーバーラップ)が生む「頑健性」

もちろん、PRPもミノキシジルも「成長因子」に影響を与えるなど、重なる部分はあります。しかし、「外からシグナルを送る(ミノキシジル)」のと「細胞内のスイッチそのものを入れ直す(エクソソーム)」のとでは、入口が違います。 複数のルートから信号を送ることで、一つの経路が弱っている方でも、他の経路が補完して結果に繋がりやすくなる——これが「セットの方が好ましい」真の理由です。

総括:ボトルネックを一つも残さないために

薄毛の悩みは、ある人にとっては「炎症」が最大の問題であり、ある人にとっては「幹細胞の深い眠り」が問題です。 「異なるメカニズムを持つ治療を組み合わせる」ということは、あなたの頭皮で起きている「何が原因で止まっているのか分からない停滞」に対して、全方位から回答を用意しておくという、極めて合理的で戦略的な選択なのです。

 

 

HPに最近いただいた質問がありましたのでお答えします

「AGAクリニックでFAGAといわれました。女性のAGAは特殊で、フィナステリド・デュタステリドは効かないといわれて、ミノキシジル、パントガール、スピロノラクトンを処方されましたが、このまま使っていいのでしょうか? 値段も高いし。」

AGAは原理において男女の差はほぼなく**、本当にAGAであればフィナステリドやデュタステリドが必ず効きます。ただ効くからいって使っていいかというと、このお薬催奇形性があるため妊娠可能な女性には使わないことになってます。妊娠可能性ないのなら使えます。そういうわけで妊娠可能年齢の女性のAGAに処方するときは、男子ホルモン抑制作用の認められるスピロノラクトンが処方されます、これは利尿剤としての長年の使用実績で催奇形性がほぼないといわれているため、効果がさほどあるわけではないのですが仕方なくこれを使う感じです。

その前に、そもそも本当にAGAなのかという点に疑問もあります。 女性における薄毛は自律神経過敏が引き起こす脱毛症のことが多く、これは当然男性ホルモンとは無関係なので、フィナステリドやデュタステリドあるいはスピロノラクトンは効きません。 自律神経過敏性は生まれ持った性質で治すことはほぼできないので、毛を成長を促進するミノキシジルが使うことになります、ただ内服では副作用むくみ・動悸は強めです。外用もあります、外用は副作用少なめですが効果も低い。最近の製品には活性型ミノキシジルを使われているものがあり、これが安定的に毛包にとどけられるのなら、%が低くても効果は出やすいといえます。

ちなみにパントガールに関してはエビデンスがないためサプリあるいは気休め程度と考えた方がいいでしょう。 結局薬があってるか適正かは、まず正しい診断ができていることです、正しい診断なくして正しい治療方針考えられないということです。この正しい診断ができる医者はまれです。

 

**(男性のAGAと女性のAGAつまりFAGAとの違いは、男性法ルモンが作用するルートが2つあります。5αリダクターゼルート(A)とアロマターゼルート(B)があり Aは脱毛、Bば育毛と考えてください。通常女性ではBが盛んなのでAに進む男性ホルモンは少なくなり脱毛しにくいのですが、更年期などでBルートが少なくなると、Aルートが増えAGAを起こしやすいと考えられる)

生え際こめかみは1本毛?

いまだなお世界中の植毛医は「生え際は一本毛」と得意気に言っていますが、これに科学的根拠はありません。
生え際は徐々に「細く長くならない毛」になり最終的には産毛となっていくものです。
植毛を考えるとき産毛の植毛はあまり現実的ではないですが、「細く長くならない毛」は植えたいわけです。
その材料は決して一本毛などではなく、当院では「ネイプヘア」を利用しています。
ネイプとはうなじです。
うなじの毛は一本毛か二本毛かという本数の問題ではなく、細く長くならないと言う意味で生え際やこみかみを自然に仕上げるのに適した材料といえます。
難点はこの細い毛をダメージなく引き抜くのは難しく、そのため他院ではここは避けているわけですが、当院ではそれを積極的に使っているというわけです。
一般の毛の切断率が限りなく0にちかい当院の手法においてネイプヘアは有効な材料と言えます。

グラフト作成の実態

以前からたまに他院修正で来院される方で、例えば1000グラフト行ったと言う話だが、採取部分を見ると500グラフト程度しかとってないことがあります。
生えて来ている毛も500グラフト程度なので、実際より多く言われたのかというと、よく植えた部分を見ると、生着が悪かったようにみえます。
つまり確かに1000グラフト植えたことは植えたのでしょう。
これはどう考えられるか、それが株分けです。
採取を3本毛とって、1本毛と2本毛に株分けをして数を増やしているのでしょう。
一見効率のいい方法に見えますが、この株分けが一歩間違うとグラフトに甚大な損傷を与えて、生着率を下げてしまうことにつながります。
当院では株分けは原則禁止、どうしても必要なときも最小限にとどめています。

ネイプを植え込む孔は

ちょっとマニアックになりますが、
孔開けには、ラインスリット、ニードルスリット、マイクロホールがあります。
実際、今世界中で最も使われているのはラインスリットかもしれません。
ただこの細いネイプを植え込むには、ラインスリットにそのまま挿入するとグラフトを傷めてしまうかもしれないので、少し押し開いて挿れることになります。
一方ニードルスリットなら、開けた時点で少し押し開いているため最も好都合です。
結局当院では25ゲージという注射針を使ってニードルスリットを開け、開けたらすぐに挿れるようにしています。
したがって、ラインスリットでサクサク開けるのとはちがい時間がかかりますが、グラフトの損傷を最小限にできます
ちなみによくやられるグラフトの毛根部分を把持して詰め込む方法はグラフトをとても傷めるため当院では禁止しています。

採取部分はどうとるか

多くのクリニックでこの採取部はわりと雑に扱われているところではあり、術後に採取部がはがき状に薄かったり、円形脱毛でもあるのかと思うくらい偏って採取してあったりするのをよく見かけます。
患者さんもそういうものかと諦めているのかもしれませんがそうではないのです。
これは医者がきれいに仕上げようと思う気持ちがあればある程度は防げるリスクなのです。

採取部分の決定で考えることはまず2つ、一つはできるだけ傷跡を分散させるためにも広範囲とする、もう一つはできるだけ狭くして最終部分を隠しやすいようにすることです。
この相反する要素を患者さんとの診察ですり合わせをやっていくことになります。
また、分散することが容易なアンシェーブンという方法がありますが、それでもあまり広範囲だと麻酔の量も増えたりしてやはりすり合わせは必要です。
採取時はできるだけ均等に採取すること心がけ、取りやすいとこからどんどん取るという他院でよく見かける乱獲は絶対にしてはいけないことですね。

また、他院手術後かなり採取部分が悲惨になっている場合もある程度は修正できます。
方法は、やはり移植、ドナーがどうしても足りないならヘアタトゥーとなります。

切断率低減のアイデアと応用

FUE(Follicular Unit Extraction切らない採取法)で問題となることの一つに、採取時の切断率の高さがある。SS(Strip Surgery切る採取法)では、株の作成を直視下またはマンティス顕微鏡下で行うため、切断率は5%程度に収まっているのに対して、FUEでは見えない毛根を、表面の毛幹の角度等をみて予測し採取するため、その切断率は20%近くにおよぶと言われている。様々な対策が考案されているが、どれも大きな改善は得られていない。

当クリニックのi-SAFE(Inoue`s Suction Assisted Follicular Extraction)では、①吸引を使う②特別に切れるパンチを使う③専用に設計された機械を使うことにより、浅い刃入れ(3mm程度)でも採取が可能となり、切断率を1%以下にすることに成功している。

この技術により、採取に用いるパンチのサイズを0.83~0.65mmにすることができ、株の生命力を低減するトリミングを省くことが可能となる。また今までは1本毛を使用したいときには株分けが必要であったが、2~4本毛から1本だけを採集するというスプリット採取を可能にしている。さらに今までは困難と考えれていたネイプヘア(うなじの毛)の採取も可能となり、以前は生え際最前列は1本毛と考えられていた部分に、ネイプヘアを使うことでより自然な生え際を実現できるようになってきた。

FUEのもう一つの問題点であったメガセッションのためには広範囲に剃毛が必要となる部分に関しても、この技術により、その切断率に全く影響しないで、剃毛無しで広範囲から採取できるようになった。現在当院では3割の方がこのアンシェーブンを受けている。

今回は主として採取時についてであるが、また生着率に直接影響を与える株の生命力を左右する要因は、採取時だけでなく、移植部作成と移植時にも関係する。これらについての改善の私の取り組みについては、後日

アンシェーブンの割合

前回に引き続き、最近の手術の傾向です。アンシェーブンの割合が3割程度になってきました、一時ハイブリッドの方が多かったのですが、最近は単独のアンシェーブンの割合が増えてきたのです。なぜなのかについて分析していませんが、キャンペーン価格とかを続けてきたためかもしれませんし、実際、価格やかかる時間以外での欠点が少ない方法ではあります。以前のクリニックにいた頃よりこの考案した「刈らない」方法の推進者ではありましたが、開業してからは、たくさんのアイデアでソフィスティケートしたアンシェーブンを行うようになり、それの結果が少しず評価されてきたためかもしれません。本格的にパワードFUEでのメガセッションを考案した時も、今からの需要は「切らない」になっていくと確信したのと同様に、この「刈らない」も今後の主流になり得る手法ではあります。アンシェーブンなら、単に術直後でも目立たないだけでなく、ドナー範囲は精一杯広く設定でき、それだけキズを分散できるのです、さらにネイプヘアのような産毛に近い髪さえも選択枝に含める事ができ、いっそうのナチュラルさをもとめることができます。

一毛入魂(及び求人)

このコラム、一般形成のドクターもみて参考にされているとご質問等のメールをいただくことが何度かありました。そこで植毛従事者における「植毛とは」について述べてみたいと思います。
元々この植毛という手術は、研修医でもやれるほど簡単な手術ではあります。しかしその結果には、施術者により大きな差があるものです。それを左右するものはなんでしょう。経験年数でしょうか、手術数でしょうか、手術法あるいは手先の器用さでしょうか。多くのドクターに教えてきた経験からはどうもそういうものではない気がします。つまり、わりと経験が浅いドクターでもそこそこの結果を出せる人がいますし、その逆も多々あります。結局、技術はさほど難しくないこのような分野では、「心」が大きく関わってきてしまうのです。完璧にしたい心、慢心することなく、昨日より今日、今日より明日はもっと上手くなりたいと思う心、何とか毛を増やし幸せを届けたいと願う心。教えを受け入れる謙虚さと科学的考察、それを改良していこうとする独創性、そして知識に裏打ちされたセンスです。私の場合手術中に繰り返し念じるのは「一毛入魂」です。ちなみに、これらのことは植毛の場合は看護師もその結果に大きく関わっているため同様に言えることです。
もちろん、「心」だけではだめです。その上に、既存のものには常に疑問をもち留まることなく、よいと思える新たなものにも挑み、経験と知識を積み重ねていくことです。新たな技法を思いついても、患者さんで試さず脳内で試すのです、全てに矛盾がなければその仮説は当たらずとも遠からずです。もし、結果がおもわしくないなら、他のせいにして逃げず原因を一つ一つ潰していくことです。そういう念いから、自分に厳しく明日からも精進していかなくてはいけません。

補)現在(2017年12月9日時点)、当院は私一人で手術をしており更に想定している手術時間が一般的手法の倍なため可能な手術数に限界があります。「心」を持って取り組んでいただける医師看護師のかた、一緒にやりませんか。現在の科は問いません。(御連絡は当院事務局長阿部まで)