自毛植毛の手術前に知っておくべきこと

自毛植毛に興味を持つ方は年々増えていっています。かつらであれば風で飛ばされる恐れがあるし、何といってもメンテナンスが大変です。人工毛植毛においてはメンテナンスの大変さだけでなく、拒絶反応を引き起こす可能性もあります。

これらの心配が自毛植毛にはないというのは大きなメリットです。最近では某トレンディ俳優の息子も自毛植毛手術を受けたということを公表し、大きな話題となりました。自毛植毛は自分の髪の毛をそのまま移植するため、拒絶反応の心配がほぼありません。こういったことも評価されている理由なのだと思われます。

今回は念のため、自毛植毛を行う前に知っておきたいことについてご説明致します。

 

自毛植毛について

自毛植毛は1939年に火傷による脱毛部分へ皮膚移植を行ったところから始まっていると言われています。それから多くの医師が研究。今に至っています。

自毛植毛は、男性ホルモンの影響を受けづらいとされる後頭部や側頭部の自分の毛根を薄毛部分に移植する手術です。

髪の毛の司令塔とも言われる毛乳頭ごと移植するので、移植した部分の髪の毛は生涯に生え続けます。そして先述しましたが、人工毛植毛とは違い拒絶反応もほぼないです。

生着率について

日本皮膚科学会のガイドラインによると、自毛植毛の生着率は約82.5%以上と高いです。植毛した毛がきちんと生着すれば、自分の髪として生え続けます。

手術後のショックロスが見られる場合、髪の毛が一時的に抜けるので多少驚くかもしれませんが、半年後にはほぼ元通りに生えそろうのでそれほど心配はいりません。

その後は毛周期のサイクル通りに成長期→退行期→休止期と巡り髪が抜けたり生え変わったりします。

日本皮膚科学会で勧められる評価

男性の自毛植毛手術は、2017年の男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインで、
フィナステリドやミノキシジルの医薬品の推奨度Aランクに次ぐ、推奨度Bランク(行うよう勧める)を獲得しています。

一方で人工毛植毛は有害事象の発生がぬぐえないため、行うべきではないとはっきりと明記されています。これには理由があります。副作用が発生する可能性が限りなく高いからです。

人工毛植毛とは頭皮に異物を埋め込むということです。人工物に免疫が反応し、排除しようとすることがあります。結果としてこれが副作用となり、炎症などを起こします。また数年おきなどにメンテナンスを必要とします。

さらに抜けてしまうともう生えてきません。これは人工毛植毛の最も大きなデメリットで、手術のし直しとなり、頭皮に負担を与えます。

自毛植毛は自分の髪の毛であるため、抜け落ちても何度でも生え変わります。通常の毛周期サイクルと同じです。

デメリットについて

自毛植毛は手術であるため痛みを多少なりとも伴います。もちろん、局所麻酔をしっかりと効かせているため、激しい痛みと言うのはそれほどありません。大抵の患者様の場合、眠っていたり、うとうとしている間に手術は終わります。

またもう一つのデメリットとして、髪が生えそろうまでに時間がかかるというのは覚えておいたほうが良いでしょう。大体半年もすれば髪の毛は生えそろいますが、中にはもう少し時間がかかってしまう人もいます。

カウンセリングについて

診察時は自分の悩みや理想の髪型を医師にしっかりと伝えることが大事です。手術のため、終わってからはデザインなど簡単に変更できるわけではないからです。

特に理想の髪型を伝えるのは重要です。患者様がどのようなイメージを持って手術を決断したのかが分かると、デザインを描く際にも参考になるからです。

「こんなこというとかっこ悪いかな」と思う部分でも積極的に伝えてみましょう。

 

育毛効果のある食事とは

食事では薄毛の劇的な改善というのは望めません。こういうとにべもありませんが、あくまで劇的な改善が見込めないというだけで、まったく効果がないという訳ではないのです。大きく改善したい場合には自毛植毛が一番です。

しかしまだ薄毛の症状が一時的なものか定かではない段階では、手術に踏み切るのは難しいでしょう。そのため、まずは食生活の見直しから考えてみることは合目的的と思われます。

育毛に良い食事とは

高脂血症などの方では頭皮の血流低下があり、たんぱく質や海藻類を多めにとるよう食事の内容を変更することが推奨されています。育毛に必要な栄養としては、たんぱく質は髪の主成分であり重要です。同時にたんぱく質と合せて毛髪の合成を促す亜鉛のサプリメントを摂取するのも良いでしょう。

このほか、コラーゲン(フカヒレ・牛すじ・鶏皮など)、血行促進作用のあるビタミンE(ほうれん草・ブロッコリ・ナッツ類など)、頭皮の健康を保つビタミンA(牛レバー・サツマイモ・ニンジンなど)、血管や頭皮を丈夫にするビタミンC(オレンジ・グレープフルーツ・ピーマンなど)も重要です。

出典 https://brand.taisho.co.jp/contents/riup/detail_349.html

髪の成長は栄養をエネルギーとしています。そのためエネルギー消費が激しく、栄養が不足していれば髪も影響を受けます。けれども髪は無くても生命に関わらないので、栄養配分の優先順位が低く、体の中では一番後に栄養が回ってくる器官と言われています。心臓から一番遠いことも理由の一つです。

育毛のために必要な栄養を髪に行き届かせるためには、十分な栄養補給が欠かせないということが分かります。

タンパク質

たんぱく質は多くのアミノ酸が結合してできたもの。髪の毛の元になる物質です。この髪の元になるアミノ酸には「必須アミノ酸」と呼ばれ、体内で合成出来ないものもあります。この場合、食べ物から摂取する必要があるのです。

たんぱく質には「動物性」と「植物性」の2種類があります。動物性たんぱく質は牛肉、鶏肉、卵 に多く含まれています。植物性たんぱく質は大豆製品(納豆、豆腐) に含まれます。

ビタミンB群

ビタミンB群は、体内に蓄積させられないビタミン。8種類ありますが、その中でも髪の材料となるたんぱく質の代謝をスムーズにするのがB2・B6・ビオチン(B7)になります。

毎日摂取する必要があります。またビタミンB群は互いに助け合うことで機能します。バランス良く摂るのが望ましいといえます。

亜鉛

亜鉛は髪の毛の生成において、タンパク質をケラチンという成分に再構成させる働きを担っています。タンパク質だけをただとっても髪の毛は成長しないのです。ケラチンによって髪の毛は構成されます。

効率的に亜鉛を摂取するためには牡蠣を レモン汁をかけて食べると、かなり効率の良い亜鉛摂取を行うことができます。アワビやタラバガニなどにも多くの亜鉛が含まれています。

それだけではありません。スルメ、牛肩ロース、鳥もも肉、卵などにも多くの亜鉛が含まれています。またゴマ、アーモンド、ソバなどにもそれなりに多く含まれています。ただし、亜鉛の過剰摂取には注意です。腎障害や神経障害になることも。それだけではなくめまいや下痢と深刻な症状も起こしやすくなります。通常の食生活では過剰摂取になる心配は基本的にはありません。他の栄養素とともにバランス良く摂取していきましょう。

激しい運動やアルコールの分解などでも亜鉛は大量に消費されます。これらの行為後は亜鉛をたくさん摂取していきましょう。

まとめ

育毛効果のある食事についてご説明致しました。育毛を意識し、日々の食生活には気を付けるようにしましょう。

亜鉛と薄毛

亜鉛と薄毛はどのような関係があるかご存じでしょうか。

亜鉛は体内で生成されないものです。そのため食物から取り入れる必要がある栄養素です。実は髪の毛を作るためには欠かすことができないミネラルなのですが、多くの人に知られているとは言えません。
亜鉛がもたらす薄毛改善効果等をご説明致します。

亜鉛とは

亜鉛とは、人が健康を維持するために必要な栄養素です。亜鉛は全身の細胞内に存在しています。亜鉛は全身の細胞に存在し、免疫システムが侵入してきた細菌やウイルスを防御するのに役立ちます。タンパク質およびDNA、つまりすべての細胞の中にある遺伝物質を合成するためにも、亜鉛は体に必要です。妊娠中、乳児期および小児期の体は、十分に成長・発達するために亜鉛を必要とします。亜鉛は創傷治癒にも有用で、適正な味覚や臭覚にも重要です。

出典 https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/12.html

亜鉛が人体にとっていかに重要であるかということが分かります。

 

亜鉛は不足しがち?

亜鉛は偏った生活を送っている現代人にとって、昔と比べると不足しやすい栄養素の一つであると言えます。

コンビニおにぎりとファストフード、カップラーメンしか食べないという方は少なくありませんが、これでは亜鉛の摂取量は著しく不足してしまいます。

以下で詳しく説明します。

亜鉛を含んでいる食材

まずは牡蠣です。 レモン汁などをかけて食べると、より効率の良い亜鉛摂取を行うことができます。実はアワビやタラバガニなどにも多くの亜鉛が含まれています。

また、スルメ、牛肩ロース、豚レバー、鳥もも肉、鶏卵などにも多くの亜鉛が含まれています。植物性の食材ではゴマ、アーモンド、抹茶、ソバなどにも亜鉛が多く含まれています。 これらの食材を調理して吸収率をしっかりあげるようにしましょう。

亜鉛は、ストレスや激しい運動、そしてアルコールの分解などで大量に消費されます。つまりこれらの行為後は多く亜鉛を摂取していくことが重要です。
ただし、亜鉛の過剰摂取には注意が必要です。腎障害や神経障害になったり、めまいや下痢といった深刻な症状を起こしやすくなるからです。通常の食生活では過剰摂取になる心配は基本的にないので、他の食材と上手く組み合わせて、バランス良く摂取していきましょう。

薄毛と亜鉛?

髪の主な材料はタンパク質です。タンパク質不足だと、髪の毛を作る材料がまったくないので薄毛になる傾向があります。ただ、タンパク質だけを取っていれば薄毛を防止できるか。そうではないのです。タンパク質から髪の毛を生成するためには亜鉛の存在が必須です。

亜鉛は人体のさまざまな部位で使用されるのですが、髪の毛の生成において、タンパク質をケラチンという成分に再構成させる働きを担っているのです。ケラチンによって髪の毛は構成されます。つまりタンパク質だけをただとっても髪の毛は成長しないのです。

自毛植毛について

ただ亜鉛を摂ったからといって薄毛の問題がなくなるかといえばそうではありません。即効性はなく、徐々に効果がある場合もあるという程度です。

確実に髪を増やしたいという場合は自毛植毛を選択することをおすすめします。自毛植毛は自分の後頭部や側頭部の髪を採取し、薄毛部分の頭頂部や前頭部に毛乳頭ごと移植する施術です。

髪の毛が生えそろうまでに半年ほど時間がかかる場合もありますが、最終的に多くの場合、自分の髪の毛が定着し、通常の髪の毛同様、抜けても何度でも生え変わるようになります。

 

まとめ

亜鉛と薄毛についてご説明しました。栄養分はさまざま組み合わせて摂ることが大切です。摂りすぎはよくありませんので、摂取量には注意しましょう。

頭皮湿疹について

薄毛の原因はAGA(男性型脱毛症)の方が多いですが、CTE、円形脱毛症を含め、様々な疾患があります。

今回は薄毛の可能性ともなりうる頭皮湿疹についてご説明致します。

 

「頭皮湿疹」とは

ちゃんと頭を洗っているのにかゆい、赤く炎症を起こしている、ブツブツとした湿疹がある、めくれた頭皮が肩にはがれ落ちる。髪の毛で覆われた頭部・髪の生え際などにみられる湿疹を、頭皮湿疹と呼んでいます。

頭皮湿疹の主な原因は、カラーリング剤や汗によるかぶれ、空気の乾燥、更にはシャンプーのしすぎや過労・ストレスなど実にさまざま、季節を問わず症状が現れます。皮脂分泌量の多い、頭皮の毛孔部にできた赤いブツブツはかゆみを引きおこし、やがて脂性のかさぶたになり、フケが目立つようになります。

出典 https://jp.rohto.com/learn-more/bodyguide/eczemaknowledge/scalprash/

脂漏性皮膚炎

脂漏性(しろうせい)とは、皮脂が多く分泌されることで真カビ菌「マラセチア」が発生し起こる皮膚炎。 かゆみ、赤くなるなどの症状が主に見られます。この結果頭皮環境が悪化し、抜け毛が進行してしまうことを脂漏性脱毛症といいます。

脂漏性皮膚炎は、洗浄力や刺激が強いシャンプーの使用をやめ、すすぎを行うことが大事です。まタオル、枕カバー、帽子なども極力、清潔に保っておきましょう。

 

接触性皮膚炎

接触性皮膚炎は何かにいきなり接触することで、引き起こされる皮膚炎。いわゆる「かぶれる」こと。これは皮膚にできる湿疹で、漆や金属で同じようにかぶれるような、刺激性、アレルギー性の皮膚炎です。

赤いブツブツが出る、皮膚が腫れるなどの症状が現れます。かゆみがひどくあり、ひどい場合は痛みも出ます。一般的に原因は、シャンプーや育毛剤に含まれている成分が頭皮に合わない、金属、ペットの毛などのアレルギー反応と言われています。

接触性皮膚炎の対策としては、原因となる物に接触しないことが一番です。

 

皮脂欠乏症皮膚炎

脂漏性皮膚炎とは真逆で、皮脂が足りないため、頭皮がかなり乾燥し、湿疹が出る皮膚炎です。 冬期間に発症すると、乾燥肌と勘違いする人もいます。しかし、 皮脂欠乏症皮膚炎(乾皮症)の症状は、乾燥したフケが増える、頭皮がガサガサする、ひび割れる、辛いかゆみが出るなどの症状があります。これは、乾燥や皮脂の不足により細菌が増えることが原因です。シャンプーのし過ぎ、洗浄力が強すぎることなどが考えられます。

皮脂欠乏症皮膚炎のこれらの対策は、シャンプーをあまりやり過ぎず洗浄力の強いシャンプーを極力は避けることです。 皮脂をあまり落とし過ぎないこと、頭皮をひどく乾燥させ過ぎないことに注意しましょう。

 

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、赤いブツブツ、皮膚が腫れる、白い粉をふく、ひどいかゆみなどです。 アトピー性皮膚炎は、現代病とも医学界で言われている皮膚炎。
アトピー性皮膚炎の原因はさまざまで、ハウスダスト、アレルギー、生活習慣、遺伝とあり、特定は極めて難しいことで知られています。

頭皮に炎症ができることで、炎症がある部位の抜け毛が増えることもあります。

まとめ

頭皮湿疹についてご説明致しました。頭皮湿疹には大まかに4つの種類があります。ここからまずは自分の症状がどれなのかを知ることが大切です。

頭皮湿疹がある方の中には自毛植毛を検討している方も多いと思われます。頭皮湿疹がある場合は医師の判断を仰ぐようにしましょう。頭皮湿疹で施術は絶対NGという訳ではありませんが、症状によってはすぐにはできないこともあります。まずは病状を包み隠さず伝えることが大切です。

 

 

自毛植毛した髪の寿命について

自毛植毛は長持ちするのか―。ということを心配し自毛植毛手術をためらう方もいるでしょう。

本格的に薄毛対策を考えるなら、植毛について知識を深めることは重要です。植毛した髪の寿命や植毛の種類についてご説明します。

自毛植毛の寿命・生着率について

自毛植毛術の有用性に関して,男性型脱毛症
や女性型脱毛症に対するシステマティック・レビュー
やランダム化比較試験は実施されていない.しかし,
2015 年度において世界全体で 397,048 件(男性 84.7%,
女性 15.3%)の自毛植毛術が実施されている68).さら
に,Beehner は著書の中で複数の報告を検討し,自毛
植毛術は 82.5%以上という高い生着率が得られること
を記載している

出典 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf

日本皮膚科学会ガイドラインの男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版によると、自毛植毛術は 82.5%以上という高い生着率が得られると記載されています。また世界的に広く実施されており、信頼性が高いことも分かります。

ちなみに一度生着した髪の毛の寿命は他の髪の毛と同じです。髪の毛のサイクルにより何度でも生え変わります。

 

植毛とは

植毛は手術で頭皮に毛髪を埋め込む行為を指します。 日本では、人工植毛と自毛植毛の2種類があります。それぞれ特徴に違いがあります。手術にかかる時間は半日程度で、ほとんどの場合、簡単に日帰りが可能です。

毛髪だけを切除し埋め込むわけではありません。毛髪が生えてくる毛乳頭といった組織ごとに移植する手術となります。

自毛植毛は埋め込んだ毛髪が、自前の毛髪として抜け落ちたり、生え変わったりする成長のサイクルを繰り返すことが大きな特徴です。

手術直後は大方毛髪が、一時的に抜け落ちますが、これはほとんどの場合問題ありません。下から新しい毛髪が生えてくる準備を行うためです。その後は自前の頭髪として、根付いて成長を続けます。

人工毛植毛との違い

人工毛植毛は合成繊維でできた人工の髪です。

自毛植毛と人工毛植毛の主な違いは、自毛植毛は拒絶反応がほぼないという点です。自毛植毛で移植するのは自分自身の髪、拒絶反応が出ることはほぼありません。

しかし、人工毛は人体からすると異物。人工毛植毛後は免疫反応により頭皮が炎症を起こしたり、重大な感染症に発展する可能性があります。

 

人工毛植毛の特徴

人工植毛は、人工的に作られた毛髪を頭皮に埋め込むことです。 素材には、シリコンや合成繊維など複数のものが使用されています。これはもちろん、人体にとっては異物です。当たり前ですが、実際の毛髪のように髪が成長することはありません。一度切ってしまえば生えてくることもありません。

それから植毛した後年に数回のメンテナンスが必要です。メンテナンスが繰り返されるたびに費用がかかります。さらに人工物であるため、免疫機能が働き拒絶反応が起こる可能性もあります。 炎症が出ないように免疫抑制剤が処方されることもあります。このせいで副作用が起こるリスクもあるのです。

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版ガイドラインにおいて、人工毛植毛は勧められないとはっきりと明記されています。理由は簡単です。このように、副作用に悩まされる懸念が非常に多くあるからです。

まとめ

自毛植毛した髪の寿命などについてご説明しました。自毛植毛は生着率、寿命ともに高いことが分かりました。定期的なメンテナンスが不要というのも、人工毛植毛と比較すると大きなメリットです。