皮膚と毛髪について

皮膚の構造、性質

頭皮は他の部位の皮膚とも繋がっている為、基本的には同じ構造です。違う点を挙げれば、毛包が密集し、皮脂腺が多いことです。
まず、皮膚の詳細な構造と皮膚付属器官の構造を説明します。
皮膚は体の一番外側にあります。体の中と外を区切る柔らかい壁です。この壁は人体の中でも最大の器官。大人の場合1.6~2.0平方メートル、体重の10~15%ほどになります。
その構造は3層からできており、一番表面の層を表皮、その下の層は真皮、一番深い層は皮下組織と言います。

表皮は皮膚の中でも一番外側にある層で、皮膚が持っている数ある機能のうち、保護機能の大部分をこの表皮が担っています。

真皮は表皮と皮下組織の間にあり、表皮を下から支えます。水分を多く含み、膠原繊維(こうげんせんい)と弾力繊維の働きにより皮膚の柔軟性、弾力性を出しています。老化によって、しわやたるみができるのは、繊維が本来の力を発揮できなくなるからです。
毛根の構造について

毛根の構造について

毛髪の3層構造 キューティクル、コルテックス、メデュラ

毛髪の中身は大きく3層に分かれています。キューティクルは一番外側です。毛髪中の10~15%を占めており、硬い鎧と表面に持つ脂質でいろいろなダメージ原因から中身を守っています。

キューティクルは、瓦状のキューティクル細胞が根元から毛先に向かって重なっており、その間には細胞膜複合体があります。キューティクル細胞同士をくっつけています。
キューティクル細胞は、成分や性質の違いから6層に分けて考えられており、水を吸うとキューティクルが開くという現象が起きるのです。

コルテックスは葉巻のようなコルテックス細胞の集まり。毛髪の中の85~90%です。コルテックスにもキューティクル細胞間と同じように細胞膜複合体があります。コルテックス細胞同士をくっつけています。

メデュラは髪の毛の中心です。「毛髄質」とも呼ばれます。少量のメラニン色素を含み、立方体形の細胞が蜂の巣のように並んでいます。直射日光の熱から頭部を守る役割もあります。

毛髪・キューティクルの構造

毛髪・キューティクルの構造

毛髪の構成成分とは

髪を焦がすと、タイヤを燃やしたときのような変な臭いがすると思います。それは毛髪やタイヤの中にある硫黄が変化してできた成分のせいです。硫黄はどんな形で毛髪に含まれるのでしょう。

毛髪の構造はキューティクル、コルテックス、メデュラという3層からできています。そしてこれらの大半はケラチンというタンパク質です。残りは水分、脂質、メラニン色素、その他となります。
その物質を詳しく解説しましょう。

ケラチン

毛髪の約80%を占めています。タンパク質の一種。ケラチンを作っているアミノ酸は18種類。18種類のアミノ酸の割合ですが、シスチンが14~18%含まれています。シスチンは硫黄を含んだ代表的なアミノ酸。ケラチン以外のタンパク質にはわずかしか含まれていないのです。
パーマによって髪の形を変えることができるのは、毛髪がシスチンを含むことによります。

水分

毛髪には約12%の水分が含まれています。しかし温風で乾燥した後は10%に低下します。毛髪は外の影響を受け水分量が変化します。ひとつの目安と考えたほうがよさそうです。
また、ダメージを受けると湿度の影響を受けやすくなります。ダメージを受けた毛は健康な毛に比べて、湿度の高い時期は髪のべたつきが強くなります。乾燥した季節は反対にパサつき感が強くなります。

脂質

毛髪は約5%の脂質を含んでいます。これもひとつの目安で、1%程度から多い場合には約8%もの脂質を含んでいることになります。脂質には毛髪が生まれたときに持っているもの、後からついた皮脂の2種類があります。

メラニン

メラニンは肌や髪の毛に色をつけている色素です。日本人や髪色の濃い東洋人は約3%含まれているのですが、白髪にはほとんどないのです。毛髪には黒褐色の「ユーメラニン」と、赤色から黄色の「フェオメラニン」の2種類があり、これらの量、割合、顆粒の大きさが毛髪の色や濃さを決めます。
・黒髪はユーメラニンが多く、顆粒も大きい。メラニン量も多い。
・ブロンドの毛:フェオメラニンが多く、顆粒は小さい。

メラニンは水や有機溶媒に溶けません、そのためシャンプーで流れ出ることもありません。

その他の成分

その他の成分ですがNMF(天然保湿因子)と呼ばれるものや微量金属が挙げられます。含まれている割合は合わせて約1%ほどです。NMFは皮膚にも含まれています。毛髪や肌の水分量を一定に保つ働きがあります。代表的な成分はアミノ酸。毛髪に含まれているNMFは肌と同じと考えられていますが、詳しいことはまだあまりわかっていないのが現状です。

微量金属は毛髪に含まれるわずかな金属イオンのことをさしています。微量むではありますが、含まれる金属の種類によっても毛髪の色は変わります。黒髪は銅、コバルト、鉄が多く、白髪はニッケルが多く含まれていると言われています。微量金属が毛髪に含まれる原因ですが、外部からの吸着と、体内からの蓄積の両方が考えられます。外部から吸着する金属はカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなど。頭髪用化粧品や水道水に含まれている成分になります。ケラチンは金属と結合しやすい酸性基を持っているため、金属イオンが吸着するのですが、パーマやカラーでダメージを受けた髪はこの酸性基が増えているので、金属の吸着量も増加えます。

体内から蓄積する微量金属ですが、ほとんどは食事によって取り込まれます。