紫外線とは、太陽から放出される太陽光線の成分のひとつ。肉眼では見ることが出来ない「不可視光線」です。紫外線は、可視光線(目に見える光線)よりも波長が短く、またX線より長い電磁波。 地球の表面に届く太陽光線全体の中の約6%ほどと言われています。
可視光線は「赤」「橙」「黄」「緑」「青」「藍」「紫」の7色で構成。いわゆる「虹色」です。紫外線は、この光線の中で紫の外側に位置しています。
赤外線が熱的な作用を及ぼすことが多いのに対して、紫外線は殺菌作用や日焼けなどの化学変化の作用が大きいのが特徴です。
太陽の光には、目に見える光(可視光線)と、目に見えない赤外線、紫外線とがあります。紫外線は、その中で最も波長の短い光で、波長によってUVA、UVB、UVCにわかれますが、実際に地表に届くのは、そのうちUVAとUVBです。
UVAの肌への影響
UVAは、肌に急激な障害を与える作用は弱いのですが、太陽から届く紫外線の約9割を占め、肌に蓄積的なダメージを与えます。肌の奥の真皮にまで侵入し、肌のハリや弾力を失わせて光老化を引き起こす原因になるのです。また、すでにできているメラニン色素を酸化させ、肌を黒くさせる作用もあります。
UVBの肌への影響
UVBは、太陽から届く紫外線の約1割と量は少ないのですが、肌への作用が強いため、短時間でも肌が赤くなるサンバーン(日やけによる炎症反応)や、数日後に肌が黒くなるサンタン(色素沈着反応)を引き起こす作用があります。波長が短いUVBは、炎症やしみの原因となるだけでなく、肌表面の表皮細胞やDNAを傷つけるなど、生体への影響が強いのです。
紫外線による色素沈着
紫外線の刺激により、メラノサイト(メラニン色素産生細胞)へ指令が届き、メラニン色素が生成されます。メラニン色素はメラノサイトから表皮の細胞に受け渡されてまわりの皮膚へと広がり、紫外線を吸収して肌を守ります。しかし、強い紫外線を浴びるとメラニン色素が過剰に生成され、しみやソバカスの原因となります。
紫外線による老化
紫外線を長年にわたって浴びることで、しみやシワ、弾力の低下といった肌の老化を促進し、さらには皮膚がんを誘発する原因になることがあります。加齢にともなう老化と比べ、UVAがもたらす光老化は、硬くゴワゴワした肌に深いシワが刻まれるのが特徴です。ヒマラヤやネパールなどの高地に住む人たちは紫外線の影響を受けやすく、20代からこの症状があらわれることもあります。
また、年齢を重ねた肌ほど抵抗力が弱くなるため、UVAによって肌細胞の老化が起きやすくなることも、コーセーの研究によって明らかになっています。つまり、加齢とともに、より紫外線への注意が必要になってくるのです。
季節で変わる紫外線
紫外線は夏に強く、冬には弱まりますが、これは、紫外線が大気層(オゾンなど)を通過する距離と関係があります。例えば日本の場合、太陽が最も近づく夏至の頃は、紫外線が大気層を通過する距離が短いため、強い紫外線のまま頭上に降り注ぎます。反対に、太陽が最も遠ざかる冬至の頃は、紫外線が大気層を通過する距離が長くなるため紫外線も弱まります。UVBは夏に比べ冬はおよそ5分の1にまで減るのに対し、UVAは夏に比べ冬は2分の1程度と変動量が少ないため、冬でも十分な紫外線ケアが必要です。
日焼け止めの使い方
紫外線から肌を守るには日やけ止めが有効です。日やけ止めは、使用量を守って、塗り忘れのないように使いましょう。ムラなく十分な量を塗るためには重ね塗りがおすすめです。特に、おでこや鼻筋、頬など、顔の中で高さのある部分はやけやすいので、重ねて丁寧に塗りましょう。また、日やけ止めは必ず2~3時間ごとに塗り直すようにしましょう。