「カタカタ…」薄暗いオフィスでキーボードの打鍵音だけが響いている。洋一は同僚たちが帰宅して既に不在のオフィス内で、一人黙々と資料作成にあたっている。明日、大口の取引先へのプレゼンがあり、そのための資料を何としても作り終えなければならないのだ。
「あと少しなんだけどな…」これがいつしか洋一の口癖になっていた。昨日も深夜帰り。確か同じことを口にしながら作業をしていたはずだ。一日ごとに考えが変わり、修正したくなるという洋一の悪い癖がここにも出ていた。
考えてみれば、もうここ数日満足に寝ていない。今日も朝帰りは確定だ。最近、抜け毛が増えてきた気もするが、それを気にしている余裕は今の洋一にはない。
高層ビルのオフィス街は一つ、また一つと明かりが消えていった―。
現代では多くの人がこの物語の主人公のように、睡眠不足に悩まされています。新生児の育児中などの一時的なものを除けば、ほとんどの原因が過労によるものです。
睡眠不足は薄毛とも関係あるのでしょうか。今回はこちらについてご説明します。
目次
最適な睡眠時間とは
実際に睡眠時間を調べた数々の論文をまとめたデータによると、夜間の睡眠時間は10歳までは8~9時間、15歳で約8時間、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間と、加齢とともに必要な睡眠時間が少なくなるということが報告されています。よく加齢によって昔ほど長時間眠れなくなったという悩みを聞きますが、実は加齢に伴い必要とする睡眠時間が少なくなっているというのが事実のようです。成人の場合、個人差はあるものの6~7時間前後の睡眠時間が目安です。
また、高齢者では若い頃にくらべて早寝早起きになるようです。これは体内時計の加齢変化によるもので、睡眠だけではなく、血圧・体温・ホルモン分泌など睡眠を支える多くの生体機能リズムが前倒しになります。
さらに、加齢とともに睡眠も浅くなるようです。睡眠脳波を調べてみると、深いノンレム睡眠が減って浅いノンレム睡眠が増えるようになります。そのため尿意やちょっとした物音などでも何度も目が覚めてしまうようになります。よく若いころの睡眠に比べてよく眠れなくなったということを経験するかもしれませんが、実は加齢に伴い体に必要な睡眠が変化してきているのです。
出典 https://www.otsuka.co.jp/suimin/column02.html
6-7時間、満足に眠れていない方は睡眠不足と言えます。
薄毛と睡眠不足
睡眠不足と薄毛は密接に関係しています。
睡眠不足になると、成長ホルモンが十分に分泌されません。つまり健康な髪が育たなくなります。 また、毛母細胞の細胞分裂活動も十分に行えなくなり、頭皮環境が悪化して抜け毛や薄毛の状態となってしまうのです。
もちろん睡眠不足の方が必ず薄毛になるという訳ではありません。あくまで薄毛の要因になりうるということです。
良質な睡眠をとるために
最も重要なのは副交感神経を優位にし、睡眠に適した状態を整えることです。具体的には、体に刺激となるような行為は睡眠前には控えた方がいいです。スマホも寝る2時間前には見ないようにするのが好ましいです。
入浴も睡眠2時間前には終えるようにしましょう。人間は、体内深部の温度が低下すると眠気が起こるようになっています。入浴前後の体温の変化で自然な眠気を誘発するためにも、入浴から就寝まで2時間ほど時間を空けるのが理想です。
まとめ
睡眠不足は薄毛になるかということについてご説明しました。
睡眠不足が必ず薄毛につながるわけではありませんが、睡眠不足が原因で薄毛が進行することもゼロではないため、気を付けるようにしましょう。
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