ストレス過多の時代、それに関連した心身症が起こりやすくなっています。円形脱毛症もそのひとつです。動物実験では過重なストレスをかけると、半日程度で動物の毛が抜けた例があります。ただし、なぜストレスによって脱毛するのか、はっきりとしたメカニズムはまだわかっていません。毛根の周りにはリンパ球が集まっているため、自己免疫疾患のひとつではないかといわれています。
円形脱毛症は、軽度であれば、ストレスを解消するだけで髪は生えてきます。それもストレスと円形脱毛症が関係しているといわれるゆえんです。治療では、塩化カルプロニウムによって血流を改善し、頭皮に刺激を与えながら、ストレスを軽減することで、通常は2~3カ月程度で髪はよみがえってきます。
しかし、重症化した場合は、そうは簡単にいきません。円形脱毛が3つ、4つと多発したり、それらが融合したり、さらには脱毛がまつ毛や体毛など全身に及ぶほど症状が進行してしまうと、治療が長期にわたることは珍しくありません。
軽度の円形脱毛症では、職場や家庭環境などに悩むことがあり、ご本人もある程度のストレスを感じ取っているのが一般的です。ところが、重症化した人の中にはストレスを自覚しないケースもあるのです。
ストレスがないのに円形脱毛症になる・・・。これは、無意識のうちにストレスがたまっているケースが多く、医療機関におけるストレス評価テストにおいて、毎日飛び込み営業で過重なストレスを感じている会社員と同程度の評価結果が得られることからもわかります。
無意識のストレスは自分自身で解消するのは難しく、放っておくと症状は重くなっていきます。円形脱毛の症状が出たときには、早めに医療機関で適切な治療を受けることが望ましいといえます。
多発型や融合型の円形脱毛症の治療には、ステロイド外用薬、セファランチン(免疫賦活薬)、グリチロン内服(肝機能の庇護薬)などが用いられ、ステロイドの局所注射や人工的にかぶれを起こす感作療法などもあります。
さらに、重症化している場合には、ビタミンやミネラルの投与、ミノキシジル(育毛薬)の使用、ステロイド内服、血行をよくするための低出力レーザー使用など、症状によってさまざまな治療を追加し組み合わせます。もちろん、カウンセリングも適宜取り入れられます。睡眠時間を十分取ったり、食生活の改善も不可欠です。
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男性型はホルモンが関与 丁寧シャンプーで予防を
年齢とともに頭頂部などが薄くなる男性型脱毛症は男性ホルモンが関係しており円形脱毛症とはメカニズムが異なります。飲み薬や塗り薬もありますが、日ごろのシャンプーでも、ある程度防ぐことができます。
男性型脱毛は薄くなったからといって、まったく毛がなくなるのではなく、産毛のような新しい毛が生えています。洗髪時はまず、湯をかけて汚れを落とす。五百円玉くらいの量のシャンプーを泡立てて、1回目は汚れや皮脂を洗い流し、2回目は半分の量のシャンプーで5分ほどマッサージをしながら洗うのがよいと言われています。
頭皮に直接シャンプーをつけたり、皮脂を取ろうとごしごし洗ったり、爪をたてたりするのはよくないです。そして、しっかりとすすぐ。これは男性だけでなく、女性にも共通することです。
拭く際は頭からタオルをかぶり、軽くたたいたり、もんだりして水分を取り、育毛剤を使用する際はドライヤーで乾かす前に塗るのがよいでしょう。蒸したタオルで血液の流れをよくすることも有効です。
肩や首が凝っていると、頭皮の血の流れが悪くなります。運動やマッサージをしたり、首筋に蒸したタオルを巻いたりするのがお勧めです。1日1回リラックスする時間を持つようにすることが大切でしょう。
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