PRP(Platelet-Rich Plasma)

PRP(Platelet-Rich Plasma)とは?

PRP(=Platele-Rich Plasma)は、関節炎、アキレス腱鞘炎などの治療などで近年注目を浴びている治療法である。「慢性」化してしまった患部を「急性」の状態にし、自己治癒力を高め効果を上げる治療法で、切開しない方法としてこの手術法が評価を得ている。

日本では美容整形の分野で多く利用されているが、アメリカではプロスポーツ選手へのけがの治療として遣われている。2014年にはニューヨークヤンキースの田中選手の肘の怪我の治療してPRP療法を行い知名度が上がった。

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PRPとは、血小板を濃縮したものである。その中には細胞が成長しやすいよう栄養素が豊富に含まれている。治療に関して言えば、腕から採血してその遠心分離機にかけてPRP組織を抽出する。同時に針の先で患部に小さい穴をいくつか開けて新しく怪我を故意的に起こす。それにより患部にふたたび炎症を起こさせるのだ。細胞の修復には炎症は一番最初の工程であり、不可欠な過程である。栄養を豊富に含んだPRPを注入することにより治癒力を加速することができ、傷ついた幹部を再生させる。

PRP療法はリハビリなどで行っても効果のなかった慢性アキレス腱炎、足底腱膜炎などの治療法としてもみとめられている。

また、植毛時にこの治療を使用すると既存毛が濃くなるといも言われている。

主な治療範囲

  • 目の下のくま・しわ
  • 顔のたるみ
  • ほうれい線
  • 上まぶたのくぼみ・三重まぶた
  • 口元のしわ
  • 首や手のしわ

スポーツ医学分野でのPRP治療

スポーツ医学分野では、腱や軟骨の炎症や変性が主な治療の対象である。これらの組織は血流に乏しく、治癒するのが遅いと言われている。
2014年5月現在、下記の疾患において、無作為ランダム化試験にて効果が確認されている。

1.テニス肘(外側上顆炎):ステロイド注射が従来行われてきましたが、PRPの投与はステロイド注射と比較して、疼痛の緩和や機能の改善につながると言われている。4)

2.ジャンパー膝(膝蓋腱炎):難治性のジャンパー膝に対してリハビリに併用して使用された場合、リハビリのみによる治療や、体外衝撃波による治療(ESWT)と比較して、疼痛の緩和や機能の改善が得られやすいと言われている。5)6)

3.変形性膝関節症:PRPが変性した軟骨を修復する効果はない。しかしながら、初期の変形性膝関節症の方やお若い方において、ヒアルロン酸注射と比較して、疼痛緩和や機能の改善といった効果があると言われている。1)7)

その他にもアキレス腱炎や筋挫傷や肩腱板炎においてもPRPの応用がなされている。(ただしその効果は定まってはいない。)

また手術療法との組み合わせでPRPが使用されることがある。肩腱板修復、アキレス腱縫合、SLAP修復、半月板縫合などの手術で、PRPによる修復部における治癒促進効果が試されている。3)

治療の流れ

どのような疾患でも一般的な内服治療などによる治療が優先されている。それでも効果をみない場合は医師の判断と患者の希望によってPRPが使用される。

PRPも調整法により様々な種類があるが、有名なところではACP(Autologous Conditioned Plasma) Double Syringe System, Arthrex社となっている。

具体的な手順は以下の通り。

1.まず健康診断での採血のように末梢血を採取。

2.それを遠心分離機にかけ血漿を抽出。

3.最後にその血漿を患部に注入。その際に正確を期する目的で超音波検査器を使用しながら患部を確認し、PRPの注入を行う。

採血時と患部への注入時には、強くはないが疼痛を伴う。
またPRP注入後2週間ほどは炎症により疼痛が持続する場合があるが、組織治癒のために炎症は必要な過程なので心配はない。