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誰でも分かる自毛植毛の歴史 後編

誰でも分かる自毛植毛の歴史の後編です。前篇では自毛植毛の歴史が古いこと、日本の技術が先進的だったこと、パンチグラフトからマイクログラフトに変わり、植毛は効率よりも美しさを求める方向となったことまでを紹介しました。

さて、自毛植毛の歴史、後編へと進んでいきます。後編では、いよいよ現代でもメジャーなメスを使った植毛法であるFUT法、メスを使わないFUE法が登場します。

自毛植毛はFUTが世界のスタンダードに

FUT法は1995年に海外で提唱され、現在でも広く普及している術式です。FUTの『FU』とはフォリキュラー・ユニットの略称で、フォリキュラーとは『毛根』のことです。1983年にヘッディントン先生によって初めて発表された概念です。植毛で実用化されたのは1995年、毛根付きの頭皮を顕微鏡でFU単位に株分けしたのが始まりです。

髪の毛は毛穴から生えています。一つの毛穴には1〜4本の太い髪、1〜2本の産毛があり、皮脂腺、起立筋等と構成されています。この元からある自然な単位で株分けを行って、無毛の場所に再分配するというのがFUTの流れです。マイクログラフトでも1株に1〜3本という小さな株が使われていましたが、これは株のサイズが小さいというだけでFUの単位とはかぎりませんでした。

FUTは全ての株分けをFU単位で顕微鏡を使い正確に行う、マルチブレードナイフは使用しないというのが特徴です。

これにより限りなく自然な自毛植毛が可能になりました。広範囲に毛根を採取できるため、密度で悩む方の疑問も解消しています。

FUTとは

メスを使い後頭部と側頭部の髪の毛を採取。前頭部や頭頂部など気になる部分に移植していく術式です。まず麻酔をかけドナーと呼ばれる毛根付きの皮膚を切り取ります。ドナーは帯状になっており、それを顕微鏡を使って細かく分けていきます。

ちなみに髪の毛は1セット1本ばかりではありません。1-4本の太い毛や1-3本の産毛が連なって1セットという状態も多く、それが自然な状態なので、忠実に株分けし移植していきます。

それから移植箇所にスリットという切り込みのような穴を開けます。ここが新しい毛穴となります。株分けし終わった毛根を順番に植え付けていくのです。

スリットの作業は一連の施術の中で大事なポイントとなります。浅すぎると定着する前に移植毛が取れてしまう恐れがあり、深すぎても炎症を起こしたり、ピットスカーと呼ばれるブツブツした跡ができる可能性が出てきます。この作業はもちろん医師が行います。医師の技量がものをいう場面であります。その後、毛根を植え付けていきます。

FUTは自毛植毛の中でもコストパフォーマンスに優れていますが、メスを使うため後頭部に線のような傷が残ります。一度にたくさん植えたいという方にはオススメですが、短髪を楽しみたいという方には不向きでしょう。

自毛植毛の主流FUE

世界ではいまだFUTが主流ですが、技術の進歩に伴い日本ではメスを使わないFUEがメジャーです。1株ごと毛包を採取するため、大きな傷が残らないメリットがあります。

FUEの毛根の採取場所はFUTと同じく、後頭部と側頭部です。採取方法が異なります。

FUEは細い専用のパンチを使って毛包を引っ張り出します。要するに髪の毛を抜くということです。FUTはメスを使って一気に取り出しますが、こちらは毛包ごとですので、より繊細な作業となります。医師と看護師の高い技術力が必要だということです。

移植毛は一時的に培養液などに浸し保存。その間前頭部などにスリットを入れていきます。※クリニックにより異なります。一般的な方法を紹介しています。

その後、髪を植え付けていくのですがここでの方法はFUTと同じになります。

FUEは一度に大量に移植するということに不向きですが、後頭部の傷を小さく出来るなど美しく仕上げることができるという大きなメリットがあります。

まとめ

このように植毛技術は日々進化し新しい技術が生まれています。現在は植毛ロボットも活躍中。10年後にはまったく予想もつかない進化を遂げているかもしれません。

誰でも分かる自毛植毛の歴史 前編

「自毛植毛は新しい技術?歴史は古い?」

初めて自毛植毛をしようか悩んでいる方は、自毛植毛自体の歴史が気になるのではないのでしょうか。こういった類の質問は、医師に相談するのも躊躇してしまいますよね。どちらかといえば雑談の類。診察のときにする質問ではないのではという気持ちになってしまうのも仕方ありません。

しかし、植毛を考えているのであればその歴史が浅いのか古いのか、はたまたどういった経緯で現在の自毛植毛へと発展していったのかを知ることも大切ではないでしょうか。サッカーや野球などのスポーツもそうですが現在に至るまでの歴史を知ることで、興味や関心がより一層高まります。

自毛植毛の歴史を紐解いてみましょう。

初期の自毛植毛

自毛植毛の歴史は1800年代だといわれ、最初に海外で考案されました。脱毛治療のための皮膚移植から発展してきました。

しかし現代の自毛植毛治療を確立するパイオニアはなんと日本人の医師たちであったのです。1930年、笹川正男医師が特殊な針を使い、折り曲げた髪の毛を頭皮に挿入、きちんと定着したことを確認しました。1936年には慶応大学泌尿器科教授の田村一先生がアンダーヘアに単一毛で植え込むことに成功。自然に植毛するためには小さな株で植え込むことが良いという見方を発表しました。また1939年には奥田庄医師がパンチ式植毛法の論文を発表しました。

奥田医師は患者本人の髪の毛を使う自毛植毛以外にも、他人の毛を移植したり、動物のヘアの生着性を確かめていたそうです。そして、植毛は血縁者であっても他人の毛は壊死を起こして生着しない、頭髪、髭、眉毛など200以上に及ぶ臨床実験で約100%の生着が得られた、2.5〜4.0mm口径の円鋸(金属円管)を使用すると良かったと発表したとのことです。

自毛植毛技術は日本が先行

ただこの論文が発表されたのは戦時中でした。貴重な研究成果ではありましたが、国内外に知られることはなく埋もれてしまいました。奥田医師の業績が広く知られるようになったのは、なんと2003年以降のこと。ちなみに奥田医師の功績が広まる前は、アメリカの皮膚科医ノーマン・オレントリック医師の「ノーマン法」がパンチ式植毛法の元祖だと考えられていました。

しかし1970年に奥田医師の過去の論文が発見されることで、日本の技術が実は先行していたことが明らかになるのです。自毛植毛の発展の影に日本人医師たちの多大な貢献があったのですね。

 

パンチグラフトからマイクログラフトへ

先程も述べました通り、1960年ごろから直径3〜4mmの円筒型のパンチを使い、一度に10本以上の髪を採取して移植するパンチ式植毛が主流となりました。

生着率は約97%と高かったのですが、生え際が不自然になるという問題もありました。パンチグラフトは田植えと同じように一定の感覚で植毛していくので、どうしても隙間ができたのです。

それからはどうやってその不自然さを無くしていくかが課題となりました。その後生み出されたのが、マイクログラフト・ミニグラフト植毛でした。1株が4〜6本のものをミニグラフト・1株1〜3本のサイズをマイクログラフトと呼び、当初はパンチ式植毛の微調整の役割という位置づけでした。しかしやはり効率よりも見た目の美しさから、マイクログラフトが主流になっていきました。

1991年、ブラジル人の医師が、それまでパンチグラフトの補助的な役割だったマイクログラフトとミニグラフトの植毛を全てのヘアに適応した症例を報告。最初は小さな株をたくさん植えると効率が悪く生着率も安定しないというデメリットがありましたが、技術革新もあり1990年代の半ばまでには標準的な方法としてマイクログラフト植毛が世界でメジャーになりました。

そして時代は流れ、FUT法が登場します。続く。

 

 

自毛植毛は長持ちするのか

「自毛植毛はコスパが良い」とよく聞きます。一度定着した髪の毛はいつまで保てるのか気になりますよね。

中には「半永久的にハゲない」という声も。薄毛に悩んでいる方からすれば朗報ですが、半永久的と言われるとにわかには信じがたいものです。

半永久的とは言わないまでも植毛した髪の毛はどのくらいの期間、長持ちするのか順番にお答えします。

 

自毛植毛は髪がなくてもできる?

育毛剤を使えば髪が多少細くなった程度である場合、髪が元のように太くなることはありますが、すっかりハゲ上がってしまった頭皮には効果がありません。頭皮にある毛包そのものが失われてしまっているからです。このような状態になると薬で対処することがかなり難しくなってきます。

では自毛植毛の場合はどうでしょうか。髪がなくなったといっても、ほとんどの方は前頭部分や頭頂部の状態のことをおっしゃいます。髪が一本もないという方は少なく、後頭部にはびっしりと健康的で丈夫な髪の毛が生えそろっています。

自毛植毛では、後頭部や側頭部の丈夫な髪の毛を使用します。これらを頭頂部などの薄くなってしまった部分に移植するのです。

現在の主流はFUE法というメスを使わない手術です。この手術では毛根を1本ずつ採取し、髪の毛の向きなどに気をつけながら植え付けます。自然な見た目を維持出来るうえ、体の負担も少ないので人気が高いのです。

自毛植毛手術は2017年に発表された日本皮膚科学会のAGA(男性型脱毛症)診療ガイドで、フィナステリドやミノキシジルといった医薬品に対する推奨度Aランクに次いで、推奨度Bランク(行うよう勧められる)の薄毛治療法として評価されている科学的根拠のある外科手術です。自毛植毛は移植された移植毛の生着率が95%以上と高く、移植してしまえばどんな方でも高い確率で髪の毛が生え薄毛の改善が可能になります。

 

自毛植毛は一度定着したら長持ちする?

結論から申し上げますと、植毛で定着した髪の毛は長持ちします。それは毛根ごと移植しているためです。通常の髪の毛と同じく、一度抜けても再び生えてきます。

逆に申し上げると植毛した髪の毛も必ず抜けます。髪の毛にはヘアサイクルというものがあり、休止期、成長期などを繰り返します。休止期に髪が抜けて、成長期に再び生える。つまり移植した髪の毛もなんら例外なく正常なサイクルを繰り返します、自毛植毛というのは髪の毛のシステムごと移植するものだからです。

また自毛植毛が長持ちするとは言えますが、半永久的とまでは言い切れません。人間の体質はそれぞれ異なりますし、髪の毛の状態も違います。通常の手術も100%成功というものはありません。自毛植毛は医療行為ですので完全に大丈夫、半永久的に安心と言い切れる種類のものではないのです。

しかし植毛は科学的証拠がある医療ですので、正しく手術が行われる限り自然の摂理でしっかりと生えてきます。

自毛植毛の注意点

自毛植毛は長持ちするのか―。というタイトル部分にも関わる重要なことをご説明します。植毛の定着率などは体質はもちろんですが、医師の腕が成功率に直結します。こちらも通常の手術と同じです。

ただ医師の腕は素人目にはとても優劣など分かりません。しかし、植毛業界にどれだけ携わっているか、手術の数をこなしているかというのはHPなどでも確認できます。

ベテラン医師は全国的にまだまだ少ないのが現状です。

まとめ

一度も植毛をしたことのない方は、植毛の効果を信じられなくて当然ではないでしょうか。しかし実際に育毛剤で改善しなかった方が、植毛によって発毛効果を実感している事実があります。悩んだらまずは専門のクリニックの医師に相談することをオススメします。

移植孔

自毛植毛に関する専門用語のこと。自毛植毛とは、自分の毛根を採取し別の場所に埋め込み生着させ毛髪をそこから発毛させることを言うが移植した毛根を移植する際に埋め込む孔のことをいう。

移植孔は人工的な穴

移植孔は、元々ある孔ではなく人工的に極小の孔を開ける。

人間の毛髪の生え方は複雑で、人によって全く異なため、自毛植毛では専門医師がまず移植孔のデザインする。このデザインが自然な毛髪の流れを作りあげる際に重要。

その為、技術と経験が必要で熟練の医師の方が安心。

移植孔と移植孔の間隔も重要。

移植したグラフト(移植株)の定着率(生着率)にも関わってくる部分なので、自毛植毛自体の満足度にも大いに関係し重要。

移植孔の形成

移植孔を形成する際には、グラフト(移植株)の形や植毛した後のデザインを考えなければいけない。

植毛する段階になり初めて移植孔にグラフトを埋め込みますが、生え際等の目立つ部分には小さ目の移植孔に小さ目のグラフトを使用する。目立ちにくい部分には大き目の移植孔に大きめのグラフトを埋め込み、ボリュームを出す工夫がなされる。

スリットホールとホールの違いmedical_fukukuukyou_syujutsu

移植孔には種類があり、スリットホールかホームかに分かれる。スリットホールとは、丸い孔ではなく一線のようなデザイン。これは移植した後に孔が目立ちづらいというメリットがある。

現在の植毛はホールよりもスリットで行われる方法が多いようだが、スリットで余計な隙間を作らずに高密度にしようとすると畑のような状態になってしまう。スリットの移植孔の際には熟練の技術と経験が必要だ。

ホールとは、丸い孔のことである。ホールにするメリットは、移植したグラフトに丁度よく収まるため少ない出血で済む。また、高密度での移植が可能になる点である。逆にデメリットはというと、スリットと比較すると皮膚のダメージが大きくなることが言われている。高密度に移植できるとは言えど高密度にしすぎると点であるものが傷として治ってしまう可能性もある。また、既存の毛がある場所にホールを作成することは難易度が高くなり、手間がかかる。

移植孔がスリットホールの場合でも、ホールの場合でも、医師の熟練の技術と経験が必要。

移植孔は、元々ある孔ではなく人工的に極小の孔を開けて作られる。人間の毛髪の生え方は複雑であり、人によって全く異なるものとなるので、医師がまず移植孔のデザインをする。自然な毛髪の流れを作りあげるには経験と技術ある医師の存在が必要不可欠である。また、移植孔と移植孔の間隔も移植したグラフトの生着率に多いに関わってくる。

移植孔を形成する際には、グラフトの形や植毛した後のデザインを考えて極小の孔を開けている。植毛の際は、移植孔にグラフトを埋め込むが生え際が目立つ部分には小さ目の移植孔に小さ目のグラフトを使用する。また、目立ちにくい部分には大き目の移植孔に大きめのグラフトを埋め込みボリュームを出せるよう工夫している。

 

 

紫外線

紫外線とは、太陽から放出される太陽光線の成分のひとつ。肉眼では見ることが出来ない「不可視光線」です。紫外線は、可視光線(目に見える光線)よりも波長が短く、またX線より長い電磁波。 地球の表面に届く太陽光線全体の中の約6%ほどと言われています。
可視光線は「赤」「橙」「黄」「緑」「青」「藍」「紫」の7色で構成。いわゆる「虹色」です。紫外線は、この光線の中で紫の外側に位置しています。
赤外線が熱的な作用を及ぼすことが多いのに対して、紫外線は殺菌作用や日焼けなどの化学変化の作用が大きいのが特徴です。

太陽の光には、目に見える光(可視光線)と、目に見えない赤外線、紫外線とがあります。紫外線は、その中で最も波長の短い光で、波長によってUVA、UVB、UVCにわかれますが、実際に地表に届くのは、そのうちUVAとUVBです。

UVAの肌への影響

UVAは、肌に急激な障害を与える作用は弱いのですが、太陽から届く紫外線の約9割を占め、肌に蓄積的なダメージを与えます。肌の奥の真皮にまで侵入し、肌のハリや弾力を失わせて光老化を引き起こす原因になるのです。また、すでにできているメラニン色素を酸化させ、肌を黒くさせる作用もあります。

UVBの肌への影響

UVBは、太陽から届く紫外線の約1割と量は少ないのですが、肌への作用が強いため、短時間でも肌が赤くなるサンバーン(日やけによる炎症反応)や、数日後に肌が黒くなるサンタン(色素沈着反応)を引き起こす作用があります。波長が短いUVBは、炎症やしみの原因となるだけでなく、肌表面の表皮細胞やDNAを傷つけるなど、生体への影響が強いのです。

紫外線による色素沈着

紫外線の刺激により、メラノサイト(メラニン色素産生細胞)へ指令が届き、メラニン色素が生成されます。メラニン色素はメラノサイトから表皮の細胞に受け渡されてまわりの皮膚へと広がり、紫外線を吸収して肌を守ります。しかし、強い紫外線を浴びるとメラニン色素が過剰に生成され、しみやソバカスの原因となります。

紫外線による老化

紫外線を長年にわたって浴びることで、しみやシワ、弾力の低下といった肌の老化を促進し、さらには皮膚がんを誘発する原因になることがあります。加齢にともなう老化と比べ、UVAがもたらす光老化は、硬くゴワゴワした肌に深いシワが刻まれるのが特徴です。ヒマラヤやネパールなどの高地に住む人たちは紫外線の影響を受けやすく、20代からこの症状があらわれることもあります。

また、年齢を重ねた肌ほど抵抗力が弱くなるため、UVAによって肌細胞の老化が起きやすくなることも、コーセーの研究によって明らかになっています。つまり、加齢とともに、より紫外線への注意が必要になってくるのです。

季節で変わる紫外線

紫外線は夏に強く、冬には弱まりますが、これは、紫外線が大気層(オゾンなど)を通過する距離と関係があります。例えば日本の場合、太陽が最も近づく夏至の頃は、紫外線が大気層を通過する距離が短いため、強い紫外線のまま頭上に降り注ぎます。反対に、太陽が最も遠ざかる冬至の頃は、紫外線が大気層を通過する距離が長くなるため紫外線も弱まります。UVBは夏に比べ冬はおよそ5分の1にまで減るのに対し、UVAは夏に比べ冬は2分の1程度と変動量が少ないため、冬でも十分な紫外線ケアが必要です。

日焼け止めの使い方

紫外線から肌を守るには日やけ止めが有効です。日やけ止めは、使用量を守って、塗り忘れのないように使いましょう。ムラなく十分な量を塗るためには重ね塗りがおすすめです。特に、おでこや鼻筋、頬など、顔の中で高さのある部分はやけやすいので、重ねて丁寧に塗りましょう。また、日やけ止めは必ず2~3時間ごとに塗り直すようにしましょう。

 

 

 

創傷治療

創傷とは

創傷とは外力により生じた皮膚組織・臓器の損傷のことを指す。

創傷の種類は、開放性損傷と非開放性損傷、または創傷の形態に基づき分けられる。開放性損傷とは、外傷により表皮の正常な連続が断たれた状態のことを指す。対して非開放性損傷は、皮下組織の非開放、いわゆる傷口がない状態の損傷のことである。

開放性損傷は「創」、非開放性損傷は「傷」と名義される。一般的にケガ、そのキズと呼ばれるものは創を指していることが多い。そのため、キズということばにしばしば使われている、傷との区別はいささかつきにくいようである。分類される創・傷だが、広義では創傷はすべての損傷を意味している。

 

創傷の種類

創傷は、その形態・症状に基づき分類される。

切創:包丁やナイフなどの鋭器により切られたことでできる損傷。

・割創:膝や頭などの、硬いもので挟まれた重量のある皮膚が、体表面に打ちつけられて生じる開放性損傷。

・刺創:先のとがった刃物などの鋭器により突き刺されたことでできる損傷で、鋭器の種類により創の形態は異なる。

・裂創:鈍的外力により圧迫的に作用した部の近傍、または離れた部位の皮膚が伸展して生じる開放性損傷。

・杙創:先端が比較的太く、鈍な、鉄筋や杭などの刃物以外の構造物が貫入した開放性損傷。

・挫創:鈍的外力が作用して生じる開放性損傷。

・挫傷:鈍的外力による打撃や圧迫によって、皮膚の断裂を伴わず、体内の組織や臓器が損傷した状態。

・熱傷:熱源による皮膚・粘膜の障害のこと。通称はやけどである。多くの人が経験したことがある外傷。その原因は液体や気体、金属など、実にさまざまである。

・凍傷:低温の影響により皮膚に寒冷が直接作用したときに、組織が凍結することによって細胞が破壊されたりする局所的な損傷。多くは、極度の慣例環境や、強風などで発生する。

擦過傷:皮膚を地面などに擦ることで、表皮の一部がなくなった状態。一般的に擦り傷と呼ばれる。

 

創傷治療とは?

傷の回復を早めることを目的とした治療全般を指す言葉。

ひと昔前の日本社会ではあまり顧みられていなかった分野で、欧米を中心に研究がさかんに繰り返されてきた。現在は国内においても、医療の多様化を背景に創傷治療に対する需要が高まっている。
美容外科の普及も、傷痕を残さない方法を追求するという観点から創傷治療の発展に拍車をかける結果をもたらしている。

植毛においては、グラフトの採取や患部への埋め入れ等の作業が発生するため、頭皮に損傷を与える確率がきわめて高い。そこで創傷治療を行う必要性も自然と高くなる。
仕上がりを高めるだけではなく、苦痛を緩和したり頭皮の変形といった症状を防止したりする上でも重視されている。

日本創傷治癒学会理事長である貴志和生氏は、以下のように語る。

「創傷治癒は生命現象を担う生理現象の大きな柱の一つであり、メカニズムの違いはあれ皮膚だけではなく、ほぼすべての臓器の損傷後に起こる現象ですので、外科系診療科はもちろんのこと、創傷治癒に無関係な診療科は皆無であると考えております。」

創傷治療の多領域への発展は今後、めざましいものになるのではないだろうか。

産後脱毛症

産後脱毛症とは? 

女性に特有の脱毛症。別名、分娩後脱毛症とも言いいます。
出産を終えて2~3ヶ月後の時期を迎えた女性は、「ホルモンバランス」と「毛髪サイクル」、「激変する生活」の3つが関係し、急に抜け毛が増加してしまうことがあります。あくまでも一時的な症状であり、半年以上経過すると自然に収まっていきます。

妊娠中は女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)とエストロゲン(卵胞ホルモン)が増えることで、髪の毛が抜けにくくなるとされています。実際、妊娠中は髪の毛や体毛が増えて毛深くなったという妊婦さんもいます。
しかし、赤ちゃんを産むと女性ホルモンが急激に減少し、妊娠中に抜けなかった髪が一気に抜けてしまうのです。
また女性ホルモン以外にも、慣れない子育てへのストレスや、赤ちゃんのお世話による睡眠不足、不規則な食事なども産後の抜け毛の原因になりえます。なかには、抜け毛によるストレスでさらに抜け毛が進む…という悪循環に陥ってしまう人もいるようです。
髪の毛は、基本的には次のようなサイクルで生える、抜けるを繰り返します。

● 成長期(髪の毛が生える時期):3〜7年間
● 退行期(髪の毛が抜ける時期):2~3週間
● 休止期(髪の毛が生えるまでの休みの時期):約3ヶ月間

産後の抜け毛の場合、多くの髪の毛が一気に退行期を迎えて抜けてしまい、休止期に入ると考えられます。一時的に髪が少なく、薄くなってしまうのはそのせいです。

その後、3ヶ月ほど経つと休止期が終わって再び成長期に入り、髪がだんだんと生え始めて量も改善されていきます。

しかし産後の抜け毛の原因である女性ホルモンの分泌量や生活習慣には個人差があるため、抜け毛が起きる期間がいつからいつまでなのかという点については、人によって異なります。

一般的には、産後すぐから抜け毛が見られ、産後6ヶ月頃、遅くとも産後1年で戻ることが多いようです。
産後の抜け毛は、生理的なことだと考えれば特に心配する必要はありません。ただ、あまり抜け毛を放っておいても、ストレスが溜まってしまいますよね。そこで、少しでも早く回復したいという人は、次のような抜け毛対策を心がけましょう。

● 規則正しい生活をしてリズムを整える
● 質のよい睡眠を多く取る
● ストレスを溜めない
● ストレッチなど、適度な運動をする

抜け毛予防に効果的な食材を栄養素別にご紹介します。忙しいかもしれませんが、これらをちょっと意識して食べることで、抜け毛の量を減らしたり、予防したりできるかもしれませんよ。

タンパク質
髪の毛の99%はタンパク質で構成されています。そのため、タンパク質が多く含まれている大豆や肉、卵などを積極的に摂りましょう。

大豆イソフラボン
大豆に含まれているイソフラボンは女性ホルモンに似た働きをし、髪の毛の成長を促すと考えられています。

大豆イソフラボンの1日の摂取目安量の上限は、70~75mgで、納豆1パック分ほどです。いつもの朝食に納豆を1つ追加するだけで手軽に摂取できますよ。

ビタミンB2
豚肉やレバー、サンマなどに多く含まれているビタミンB2は、新陳代謝を活発にし、健康な髪や皮膚などを作ったり、成長を促したりする栄養素です。ビタミンB2は熱に強い性質があるので、炒め物や煮物などで摂取するのがいいですね。

ミネラル(亜鉛、鉄)
昔からわかめやひじきは髪にいいと言われますが、これらにはミネラルが豊富に含まれています。また貝類には亜鉛が、ホウレン草やレバーなどには鉄が含まれており、健康的な髪を育ててくれる働きがあるとされています。

産後の抜け毛にショックを受けるのは仕方のないことですが、楽しく育児をするためにも、あまり考えすぎず、自然に改善されるまで待つことが大切です。

ジェネリック

ジェネリックとは?

特許が期限切れとなった医薬品を表すために頻繁に用いられる言葉。一般的に医薬品は、開発した製薬会社が特許を取得すると20年(延長が認められると25年)の間、独占して製造・販売することができる。新たに開発された医薬品は先発医薬品と呼ばれる。

先発医薬品の特許期間が満了した後は、他の企業も先発医薬品と同等の有効成分を含む医薬品を製造・販売することができる。これをジェネリック医薬品と呼ぶ。日本では、先発医薬品に対して後発医薬品という訳語が使われることも多い。

ジェネリック医薬品は、先発医薬品と比べて開発期間・開発費、またそれらに有するさまざまなコストを抑えることができる。
このため医療費を削減できるという大きなメリットにつながり、国家全体で推奨されてきた。実際に消費者にとっては、安価に購入できるという恩恵がもたらされる。

植毛においてもジェネリックの商品がしばしば注目を集めている。
とはいえ、厳密にはジェネリックではない商品も多い。たとえばAGA(男性型脱毛症)治療薬として知名なプロペシアのジェネリックとされているフィンペシアは、実際には正当なジェネリック医薬品ではない。
しかし成分や効果に関して共通点が多いことや、価格が元の商品より安価に設定されているということは確かである。

スカルプ・エクスパンダ―法

スカルプ・エクスパンダ―法とは? 

薄毛・抜け毛をカバーする手術のひとつで、スカルプ・リダクション法を発展させた方法。
薄毛が顕著な部分の皮膚を切り取り、周囲の皮膚を縫合する点はスカルプ・リダクション法と変わらない。

この方法の特異な点は、頭皮の伸縮性を増すために、頭皮と頭蓋骨の間に風船状の「エクスパンダ―」を挿入する。
エクスパンダ―は、シリコンでつくられており、術後しばらくしてからその中に注射を通して生理食塩水を少しずつ注入する。こうして人為的に頭皮を伸ばしてから頭皮の切除を実施する。

エクスパンダ―を挿入するときは全身麻酔を用いるが、生理食塩水の注入の際は苦痛を感じる点が大きなデメリットとなっている。
また、エクスパンダ―を入れている間は頭部が不自然に膨らんで見えてしまうことも無視できないデメリットである。

スカルプ・リダクション法

スカルプ・リダクション法とは? 

薄毛・抜け毛をカバーするために考案された手術のひとつ。1970年代に発表された方法で、現在ではメジャーな方法ではない。

この方法では薄毛が進行している部分の頭皮を適宜切り取る。その後、周囲の頭皮を縫合して終了となる(植毛を行うわけではない)。

この方法では手術が比較的短時間で終わるため、費用や患者の負担という観点で見るとメリットがある。それから、薄毛が進行している部分を、(植毛手術や投薬による治療と比べて)素早くカバーできるというメリットも大きい。

デメリットは、この手術を終えてから周囲の頭皮の脱毛が顕著になる傾向が確認されていることである。また、頭髪の密度や自然な仕上がりを損ねるというデメリットもある。